「まさか自分が…」と思っていた人ほど被害に遭う時代
「SNSで知り合った女性と結婚を考えている。」
「投資で利益が出ているので、もう少し資金を増やしたい。」
数年前までは、このような相談が不動産会社へ持ち込まれることは決して多くありませんでした。
しかし近年、警察庁が公表している統計を見ると、SNSを利用したロマンス詐欺や投資詐欺は急激に増加しています。
さらに、不動産業界でも「詐欺被害によってまとまった資金が必要となり、自宅の売却やリースバックを検討する相談が増えてきた」という声を耳にする機会が増えています。
私たちはお客様の大切な住まいを取り扱う会社として、「売却できればそれで良い」という姿勢ではなく、「なぜ現金が必要なのか」という背景まで確認することが、これからますます重要になると考えています。
今回は、近年急増しているロマンス詐欺の実態と、不動産会社として感じる課題、そしてリースバックという制度をどのように活用すべきかについて、警察庁の公表データをもとに解説します。
ロマンス詐欺とは?
ロマンス詐欺とは、SNSやマッチングアプリなどを利用して恋愛感情や親近感を抱かせ、その心理を利用して金銭をだまし取る詐欺です。
以前は、
「海外で働いているので会えない」
「飛行機代を貸してほしい」
「病気になったので助けてほしい」
という手口が中心でした。
しかし現在は、その手口が大きく変化しています。
恋愛感情だけではなく、
· 投資
· 暗号資産(仮想通貨)
· FX
· 金(ゴールド)
· 海外投資
などを組み合わせ、「二人の将来のために資産を増やそう」と持ちかけるケースが非常に多くなっています。
被害者本人は「恋愛詐欺」ではなく、「投資をしている」「資産運用をしている」という認識のまま、多額の資金を送金してしまうケースも少なくありません。
警察庁のデータから見る被害の実態
ロマンス詐欺は、一部の人だけが被害に遭う特殊な犯罪ではありません。
警察庁の2025年の統計では、SNS型ロマンス詐欺は次のような状況となっています。
· 認知件数:5,645件
· 被害総額:約546億円
· 前年比:約47.6%増(件数)
· 前年比:約36.3%増(被害額)
わずか1年間でこれだけ被害が増えていることからも、社会問題として深刻化していることが分かります。※警察庁公表資料より。
さらに注目すべきなのは、男性の被害が非常に多いという点です。
2025年の男性被害は3,633件。
全体の約6割を占めています。
特に40代〜60代男性の被害が目立つ理由
警察庁の年代別統計を見ると、男性被害者の多くは40代・50代・60代に集中しています。
特に50代男性は男性被害者全体の中でも最も多く、40代から60代を合わせると男性被害の約4分の3を占めています。
もちろん、年齢だけで「だまされやすい」と言えるものではありません。
しかし、不動産業界の視点から考えると、この年代が狙われやすい背景にはいくつかの理由があると考えられます。
① 一定の資産を保有している
40代〜60代になると、
· 持ち家
· 預貯金
· 退職金
· 投資資産
など、まとまった資産を保有している方も少なくありません。
詐欺グループは、その資産を狙っています。
最初は10万円程度の少額投資から始まり、
「利益が出ました。」
「もっと投資すればさらに増えます。」
と信用させ、最終的には数百万円から数千万円もの送金へ誘導します。
② 恋愛だけではなく「投資」が入り口になっている
現在のロマンス詐欺は、恋愛感情だけを利用する犯罪ではありません。
例えば、
「私も投資で成功しました。」
「叔父が証券会社に勤めています。」
「二人の将来のために一緒に資産を増やしましょう。」
このように自然な流れで投資へ誘導します。
つまり、
恋愛
↓
信頼
↓
投資
↓
送金
という流れが出来上がっています。
そのため、被害者自身も「詐欺に遭っている」という認識がなく、「投資で資産運用している」と信じ込んでしまうのです。
③ SNSでは簡単に信頼関係が築けてしまう
以前は、詐欺師と実際に会うケースもありました。
しかし現在では、
· マッチングアプリ
などから知り合い、その後LINEへ移動して毎日のように連絡を取り合います。
「おはよう。」
「仕事お疲れ様。」
「今日は暑かったね。」
このような何気ない会話を何週間、何か月も続けることで、本当に恋人のような関係が築かれてしまいます。
近年では生成AIによる画像や動画を悪用する事例も報告されており、「写真があるから安心」「ビデオ通話をしたから本物」とは言い切れない時代になっています。
なぜ不動産売却やリースバックにつながるのか
ここで重要なのが、不動産会社としての視点です。
ロマンス詐欺では、最初から何千万円もの送金を要求されることは多くありません。
少額から始まり、
「利益を引き出すには税金が必要です。」
「保証金を支払えば出金できます。」
「あと少しで大きな利益になります。」
などと言われるうちに、被害者は「ここでやめたら今までのお金が無駄になる」と考えてしまいます。
いわゆる「サンクコスト効果(埋没費用効果)」と呼ばれる心理状態です。
その結果、
· 預金を解約する
· 保険を解約する
· 消費者金融で借りる
· 親族から借りる
それでも足りなくなると、
「自宅を売却してでも資金を用意したい」
という考えに至るケースがあります。
そこで検討される選択肢の一つが、不動産売却やリースバックです。
本来、リースバックは老後資金の確保、住宅ローンの整理、相続対策、事業資金の確保など、さまざまな事情に対応できる有効な資金調達手段です。
だからこそ、私たち不動産会社は、「売却できるかどうか」だけではなく、「なぜ資金が必要なのか」「本当にその売却が相談者のためになるのか」という背景まで丁寧に確認する姿勢が求められているのです。
リースバックは「危険」なのではなく、「使い方」が重要
ここまでお読みいただき、「リースバックは詐欺被害者が利用する制度なのでは?」という印象を持たれた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、それは大きな誤解です。
リースバックは、住み慣れた自宅を売却して資金を確保し、その後も賃貸として住み続けられる仕組みであり、決して特別な制度ではありません。
実際には、
· 老後の生活資金を確保したい
· 住宅ローンの返済負担を軽くしたい
· 相続対策として資産を整理したい
· 事業資金を確保したい
· 医療費や介護費用に備えたい
など、人生のさまざまな場面で利用されている資金調達方法の一つです。
重要なのは、「なぜ資金が必要なのか」という理由です。
目的が明確で、ご本人やご家族が十分に理解・納得したうえで利用するリースバックは、暮らしを守るための有効な選択肢になります。
一方で、第三者から心理的に追い込まれ、「急いで現金を用意しなければならない」と思い込まされている状況では、本当にその売却が最善なのかを慎重に考える必要があります。
不動産会社だからこそ気付ける「危険なサイン」
私たち不動産会社は、医師や警察官ではありません。
しかし、お客様と直接お会いし、お話を伺う立場だからこそ、「何か違和感がある」と感じる場面があります。
例えば、次のようなケースです。
· 「とにかく今日中に現金が必要です。」
· 「家族には絶対に内緒にしてください。」
· 「海外へ送金する予定があります。」
· 「投資資金なので急いでいます。」
· 「暗号資産(仮想通貨)を購入するためです。」
· 「税金を払えば利益を引き出せると言われています。」
· 「知人には相談しないように言われています。」
もちろん、このような事情があるからといって、必ず詐欺とは限りません。
しかし、複数当てはまる場合は、一度立ち止まっていただくことが大切です。
もし担当者から理由をお聞きすることがあれば、それは売却を妨げるためではありません。
お客様の大切な財産を守るためです。
ロマンス詐欺だけではありません
近年は「ロマンス詐欺」という言葉が広く知られるようになりましたが、お金をだまし取る手口はそれだけではありません。
例えば、
· SNS型投資詐欺
· 副業詐欺
· 架空の投資案件
· なりすましによる送金詐欺
· サポート詐欺
· 還付金詐欺
· 特殊詐欺
など、その手口は年々巧妙化しています。
共通しているのは、「急がせること」です。
「今日だけです。」
「今送金しないと利益がなくなります。」
「あと少し払えば出金できます。」
「このチャンスを逃したら一生後悔します。」
冷静に考える時間を与えず、判断力を奪うことが詐欺グループの常套手段です。
だからこそ、不動産の売却についても、「急いで契約しましょう」という会社ではなく、「一緒に考えましょう」と言ってくれる会社を選ぶことが大切ではないでしょうか。
ヤマトハウステックが大切にしていること
私たちは、「リースバックは売れば終わり」という商品ではないと考えています。
売却後も、お客様はその住まいで生活を続けることになります。
だからこそ、契約の前には、
「本当にリースバックが最適なのか。」
「通常売却の方が良いのではないか。」
「ご家族とも十分に話し合われたか。」
「他に資金を確保する方法はないのか。」
そうした点も一緒に考えながら、ご提案しています。
場合によっては、「今は売却しない方が良いと思います」とお伝えすることもあります。
それは、お客様にとって最善の選択を第一に考えているからです。
私たちは、不動産を売る会社である前に、お客様の人生設計を一緒に考えるパートナーでありたいと考えています。
リースバックを検討する前に確認していただきたい5つのこと
もし現在、リースバックをご検討中であれば、契約を急ぐ前に次の5つを確認してみてください。
① 現金が必要な理由を整理する
「何のために資金が必要なのか」を紙に書き出してみましょう。
目的が明確になることで、本当にリースバックが最適な方法なのかを冷静に判断しやすくなります。
② 家族や信頼できる人へ相談する
一人で決断する必要はありません。
第三者の意見を聞くだけでも、新たな気付きが得られることがあります。
③ 本当に急ぐ必要があるのか考える
「今日契約しないと間に合わない」というケースは、実際にはそれほど多くありません。
焦って契約する前に、一度深呼吸して状況を整理しましょう。
④ 複数の不動産会社へ相談する
査定価格だけではなく、
· 契約内容
· 家賃
· 契約期間
· 将来の買戻し条件
なども比較することが大切です。
⑤ 少しでも不安があれば相談する
「これって詐欺かもしれない。」
そんな違和感がある場合は、一人で抱え込まず、警察や消費生活センター、ご家族へ相談してください。
被害は早く気付くほど、資金の流出を防げる可能性があります。
まとめ|リースバックは「人生を守るため」の制度であるべき
リースバックは、お客様の人生を立て直すための制度であって、誰かに追い込まれた結果として利用する制度ではありません。
ロマンス詐欺やSNS型投資詐欺など、近年はさまざまな理由で「まとまった現金が必要になる」ケースが増えています。
だからこそ、不動産会社には、単に売却をお手伝いするだけではなく、その背景まで丁寧に確認し、お客様にとって本当に最善の方法をご提案する姿勢が求められています。
ヤマトハウステックでは、リースバックをご検討されるお客様一人ひとりのお話を丁寧に伺い、「住み続ける」という安心と、「資金を確保する」という目的、その両方を実現できる方法を一緒に考えています。
もし現在、
「リースバックが自分に合っているのか分からない。」
「売却するべきか迷っている。」
「他にも方法があるのではないか。」
そのようなお悩みをお持ちでしたら、契約を急ぐ必要はありません。
まずはお気軽にご相談ください。
お客様の大切な住まいと、これからの暮らしを守るために、私たちは一緒に考える不動産会社でありたいと思っています。
