リースバックを検討されている方の中には、
「リースバックを相談するのに専門家はいるの?」
「リースバックにも専門資格があるの?」
「リースバックはどの会社に相談すれば安心?」
と疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
住宅リースバックは、自宅を売却してまとまった資金を受け取りながら、売却後は賃貸借契約を結ぶことで、そのまま自宅に住み続けることができる仕組みです。
一般的な不動産売却と大きく異なるのは、「不動産の売買」と「売却後の賃貸借」が一体となった取引であることです。
さらに、将来自宅を買い戻したい場合には、買戻しの条件についても確認する必要があります。
そのため、単純に「自宅をいくらで売却できるか」だけではなく、売却後の家賃や契約期間、契約の種類、買戻し条件などについて総合的に判断する必要があります。
こうした住宅リースバックについて専門的な知識を学ぶ資格として、2026 年に新しく始まったのが「住宅リースバック適正取引主任者」です。
住宅リースバック適正取引主任者とは?
「住宅リースバック適正取引主任者®」は、NPO 法人日本住宅性能検査協会が資格認定を行う、住宅リースバックに関する民間資格です。
資格の公式サイトでは、住宅リースバック市場において、利用者の居住や財産を守り、安全で透明性の高い取引につなげるための専門資格として位置づけられています。
特に大きな特徴が、国土交通省が 2026 年 7 月に策定した「リースバックに関するガイドライン」を踏まえた資格であることです。
このガイドラインの正式名称は、
「住宅のリースバック取引における宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(リースバックに関するガイドライン)」
といい、2026 年 10 月 1 日から施行される予定です。
2022 年の「ガイドブック」と 2026 年の「ガイドライン」は違う
少し分かりにくいのですが、国土交通省からはリースバックについて、
2022 年の「ガイドブック」と 2026 年の「ガイドライン」
の 2 つが公表されています。
2022 年|住宅のリースバックに関するガイドブック
2022 年 6 月に国土交通省が公表したもので、主にリースバックを検討する消費者向けに、
- リースバックの仕組み
- 利用例
- 実際に起こり得るトラブル
- 契約するときの注意点
- 売却価格や家賃についての考え方
- 買戻しを検討するときの注意点
などを分かりやすくまとめたものです。
2026 年|リースバックに関するガイドライン
一方、2026 年 7 月には、
「住宅のリースバック取引における宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」
が策定されました。
こちらは主にリースバックを取り扱う宅地建物取引業者などに向けて、リースバック取引に宅地建物取引業法をどのように適用・運用していくのかを示したものです。
2026 年 10 月 1 日から施行される予定となっています。
つまり、
2022 年のガイドブック=主に利用者がリースバックを理解するためのもの
2026 年のガイドライン=主に事業者側の適正な取引・説明の考え方を示したもの
と考えると分かりやすいでしょう。
なぜリースバックに専門知識が必要なの?
通常の不動産売却では、売却して物件を引き渡せば、基本的には売主とその不動産との関係は終了します。
しかし、リースバックは違います。
自宅を売却した後も、
「所有者」から「賃借人」へ立場を変えて、その家に住み続けます。
そのため、
① 不動産売買
② 売却後の賃貸借
という 2 つの契約を一緒に考えなければなりません。
さらに買戻しを希望する場合には、
③ 将来の買戻し条件
についても考える必要があります。
例えば、
「高く買い取ってくれるからこの会社にしよう」
と買取価格だけを見て契約してしまったとしても、売却後の家賃が高額であれば、長期間住み続けることが難しくなる可能性があります。
リースバックでは、売却価格だけでなく、その後の生活まで考えて条件を決めることが非常に重要なのです。
住宅リースバック適正取引主任者では何を学ぶ?
資格の公式案内では、住宅リースバックに関連する知識として、
- 民法
- 借地借家法
- 宅地建物取引業法
- 賃貸住宅管理業法
- リースバックにおける売買
- 売却後の賃貸借
- サブリース(転貸借)
- 国土交通省のリースバックに関するガイドライン
などを横断的に扱う資格とされています。
リースバックは売買だけで完結する取引ではないため、不動産売買と賃貸借の両方について理解することが重要になります。
住宅リースバック適正取引主任者は国家資格?
住宅リースバック適正取引主任者は国家資格ではなく民間資格です。
また、宅地建物取引士のように、この資格を持っていなければリースバックを取り扱えないという資格でもありません。
したがって、
「住宅リースバック適正取引主任者がいる会社だから絶対に安心」
と判断するものではありません。
あくまで、リースバックに関する専門知識を学んでいることを確認する一つの判断材料として考えるのがよいでしょう。
資格を取得するには?
資格公式サイトによると、受験資格について年齢・学歴・保有資格などの制限はなく、誰でも受講できます。
基本的な流れは、
講習の受講
↓
インターネットによるテスト
↓
合格
↓
登録手続き
↓
住宅リースバック適正取引主任者として正式登録
となっています。
公式サイトによると、受講料は 29,700 円(税込・公式テキスト代含む)です。
合格後に正式登録する場合は、別途登録手数料 11,000 円(税込)が必要です。
また、登録の有効期間は 2 年間で、更新時には所定の講習を受講し、更新料 11,000 円(税込)が必要とされています。
資格制度や費用等については変更される可能性がありますので、受講を検討される場合は資格認定団体の公式情報をご確認ください。
資格取得後も継続的に学ぶ仕組み
資格は取得して終わりではありません。
公式サイトによると、登録者は定期的に開催される専門家によるセミナーへ無料で参加できる制度があります。
また、2 年ごとの資格更新時には所定の講習を受講し、住宅リースバック適正取引主任者の行動準則を改めて確認する仕組みとなっています。
リースバックを取り巻く法律やルールが変化していく中で、継続して知識を更新することを前提とした資格制度になっています。
「住宅リースバック適正取引主任者のいるお店」への掲載制度も
正式な資格登録者については、希望すれば資格公式サイトの「住宅リースバック適正取引主任者のいるお店」に掲載される制度も設けられています。
公式サイトによると、
- 登録 ID
- 法人名または個人名
- ホームページへのリンク
などが掲載される予定です。
消費者にとっても、リースバックについて専門的に学んだ資格者がいる会社を探す際の一つの参考になる可能性があります。
リースバック会社を選ぶときに確認したいポイント
資格の有無も一つの参考になりますが、リースバック会社を選ぶ際には、それだけで判断するべきではありません。
特に確認していただきたいのが次のような点です。
1.買取価格の根拠
「いくらで買ってくれるのか」だけでなく、なぜその査定額になったのかを確認しましょう。
周辺の成約事例や土地価格、建物の状態など、査定根拠を説明してもらうことが大切です。
2.売却後の家賃
買取価格と同じくらい重要なのが家賃です。
高い価格で買い取ってもらえても、その後の家賃が生活を圧迫してしまっては、安心して住み続けることが難しくなります。
「いくらで売れるか」と「いくらの家賃なら無理なく住み続けられるか」をセットで考えることが重要です。
3.普通借家か定期借家か
売却後に締結する賃貸借契約が、
- 普通借家契約なのか
- 定期借家契約なのか
- 契約期間は何年間なのか
- 更新または再契約が可能なのか
について確認しましょう。
4.買戻し条件
将来的に自宅を買い戻したい場合には、
- 買戻し価格
- 買戻しできる期間
- 買戻しの条件
- 条件を書面で確認できるか
などを契約前に確認しておくことが重要です。
5.修繕費などの負担
リースバック後は所有者と入居者が別になります。
給湯器や設備が故障した場合などに、
「誰がどこまで修繕費を負担するのか」
についても契約前に確認しておきましょう。
2026 年はリースバック取引にとって大きな節目
これまでにも国土交通省は、2022 年に消費者向けの「住宅のリースバックに関するガイドブック」を公表し、リースバックを利用する際の注意点を示してきました。
そして 2026 年には、さらに一歩踏み込み、宅地建物取引業者等を対象とした「リースバックに関するガイドライン」が策定されました。
リースバックを取り扱う会社には、単に不動産を査定して買い取るだけではなく、売却後の賃貸借条件まで含めて、お客様が十分に理解できるよう説明することがこれまで以上に重要になっていくと考えられます。
私も住宅リースバック適正取引主任者の取得を考えています
私自身、普段からリースバックのご相談や査定に携わる中で、買取価格だけではなく、売却後の家賃や契約内容、将来の買戻しまで含めてご説明することの重要性を感じています。
住宅リースバック適正取引主任者は 2026 年から始まった新しい資格であり、資格自体の歴史はまだこれからです。また、民間資格ですので、資格を取得するだけでリースバックの専門家になれるとは考えていません。
それでも、国土交通省が新たに策定したガイドラインや関連法令について改めて体系的に学び、日々のリースバック業務に生かすことには意味があると考えています。
そのため、私自身も今年、この「住宅リースバック適正取引主任者」の資格を取得しようと考えています。
資格を取得すること自体を目的とするのではなく、そこで得た知識を実際の査定や契約、ご相談時の説明に生かし、お客様により分かりやすく、安心してリースバックを検討していただけるよう努めていきたいと思います。
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