はじめに
リースバックとは、自宅を売却しながら、その後も同じ住居に住み続けることができる仕組みです。近年、高齢化が進む中で、資金が必要になった場合や老後の生活に備えるため、リースバックの需要が高まってきています。このブログでは、リースバックの仕組み、メリット・デメリット、注意点などを詳しく解説していきます。
リースバックの仕組み
1. 自宅を売却する
まず、自宅を不動産会社など買主に売却します。売却価格は、通常の売買価格よりも10〜30%程度低めに設定されることが一般的です。
売却価格が安くなる理由は、買主(リースバック業者)は売主との賃貸契約が終了した後、買い取った不動産を売却して利益を目的としている事が多く、取得費用を抑えようとする為です。また、売主はその後も同じ家に住み続けられるというメリットを得られます。
2. 同じ家を賃貸する
売却後、売主は買主との間で賃貸借契約を結び、同じ家に賃貸として住み続けることができます。家賃は、売却価格や周辺の賃貸相場を基に決められます。
契約期間は数年から10年程度が一般的ですが、無期限の契約もあります。ただし、期間が決められている場合は、契約満了後に退去を求められる可能性があります。
3. 必要な資金を調達する
売却によって得られた資金は、用途を問わず自由に使えます。住宅ローンの返済、介護費用、子どもの教育費用など、様々な目的で活用できます。
また、自宅を所有していないため、固定資産税の支払いや大規模な修繕費用がかからず、月々の家計負担が軽減される点もメリットの一つです。
リースバックのメリット
1. 引っ越しの必要がない
住み慣れた自宅に住み続けられるため、引っ越しに伴う手間や費用がかかりません。高齢者にとっては特に大きなメリットといえるでしょう。
愛着のある我が家に、慣れ親しんだ地域コミュニティで、これまでと変わらない生活を送ることができます。
2. まとまった資金を確保できる
自宅を売却することで、必要な資金をまとまって確保できます。住宅ローンの返済が困難な場合や、老後の生活資金が不安な場合に有効な手段となります。
また、相続対策としても活用できます。事前に自宅を売却しておけば、後々の手続きが簡単になります。
3. 固定資産税や修繕費の心配がない
自宅の所有権が移転するため、固定資産税の支払いや大規模な修繕費用がかからなくなります。老後の出費を減らせるのは大きなメリットです。
ただし、賃貸物件の場合は修繕の範囲が決められているため、リフォームなどは自由にできません。
リースバックのデメリット
1. 売却価格が相場より低くなる
売却価格は、通常の売買価格より10~30%程度安く設定されます。自宅の資産価値が下がってしまう点が最大のデメリットです。
また、売却価格の積算根拠が不透明な場合があり、事前に十分な説明を受ける必要があります。
2. 毎月の家賃負担が発生する
自宅に住み続けるためには、毎月一定額の家賃を支払わなければなりません。収入が減少する老後の生活では、家計への負担が大きくなる可能性があります。
家賃の決め方にも注意が必要で、高額すぎる家賃は避けたいところです。周辺の相場を確認することが大切です。
3. 退去を求められるリスクがある
契約期間が定められている場合、更新がなされず退去を求められるリスクがあります。実際に高齢者が路頭に迷うトラブルも起きています。
無期限の契約であれば、そのようなリスクは低くなりますが、十分な確認が必要不可欠です。
リースバックを利用するタイミングと注意点
1. 住宅ローンの返済が厳しい場合
リースバックを活用することで、手元にまとまった資金が入るため、住宅ローン返済の負担が軽減されます。
ただし、その後毎月の家賃負担が発生するため、長期的な収支への影響を考慮する必要があります。
2. 老後の生活資金を確保したい場合
公的年金だけでは不安な高齢者にとって、リースバックは老後資金の確保手段として有効です。自宅を現金化し、その資金を生活費に充てることができます。
ただし、家賃支払いにより生活費が増えるため、長期的な収支を十分に検討しましょう。
3. 相続対策として活用する場合
自宅を事前に売却しておけば、後々の相続手続きがスムーズになります。相続トラブルのリスクも低くなります。
ただし、売却価格が安くなるデメリットがあるため、相続人全員の合意が得られるかどうかを確認する必要があります。
まとめ
リースバックは、自宅を売却しながら住み続けられるユニークな制度です。まとまった資金の確保や、老後の生活資金対策などに有効活用できますが、売却価格の割引やその後の家賃負担など、注意すべき点も多くあります。
自身の生活スタイルや収支状況を踏まえ、メリット・デメリットをしっかりと理解した上で、利用の是非を慎重に判断することが大切です。複数の業者を比較検討し、分からないことは専門家に相談するなど、トラブルに備える対策も重要になってきます。
リースバックは、今後さらに需要が高まると考えられる制度です。活用の際は事前に十分な知識を身に付けましょう。
