2026年10月、住宅ローンを利用している方にとって見逃せない動きがありました。
大手銀行5行のうち、みずほ銀行・りそな銀行・三井住友信託銀行の3行が、住宅ローンの変動金利を引き上げました。
2026年10月の変動型住宅ローンの最優遇金利は、
- みずほ銀行:年1.275%
- りそな銀行:年1.25%
- 三井住友信託銀行:年1.70%
- 三菱UFJ銀行:年1.195%
- 三井住友銀行:年1.525%
となり、大手5行すべてで1%を超える水準となりました。
また、固定10年についても大手5行すべてが引き上げています。
今回の金利上昇は一時的なニュースとして見るのではなく、住宅ローンを利用している方にとって「自分の住宅ローンを一度確認するタイミング」と考えた方がよいでしょう。
特に、変動金利で多額の住宅ローンを組んでいる方、借入期間が長い方、ペアローンを利用している方、毎月の住宅ローン返済に余裕が少ない方は注意が必要です。
今回は、不動産売買・住宅ローン返済相談に関わる不動産会社の視点から、金利上昇によって住宅ローンに何が起こるのか、そして今後どのような点を確認しておくべきなのかを解説します。
なぜ住宅ローンの変動金利が上がっているのか?
住宅ローンの変動金利は、一般的に金融機関の短期プライムレートなどを基準として決められており、日本銀行の政策金利の影響を受けます。
日本銀行は2026年6月、政策金利を0.75%程度から1.0%程度へ引き上げました。
さらに2026年9月18日の金融政策決定会合では、政策金利を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げています。
つまり、
「日本銀行の政策金利上昇」
↓
「銀行の短期金利・短期プライムレートなどの上昇」
↓
「住宅ローンの基準金利上昇」
↓
「住宅ローン利用者の適用金利へ反映」
という流れが進んでいます。
ただし、政策金利が上がった翌月から、すべての住宅ローン利用者の返済額が一斉に上がるわけではありません。
金融機関や契約内容によって、金利の見直し時期や実際の返済への反映時期が異なるためです。
今回の2026年10月の金利改定についても、6月の日銀利上げを反映したものが中心です。
一方、9月の日銀による追加利上げについては、すでに三菱UFJ銀行が2026年12月から住宅ローンの変動金利の基準金利を見直すことを公表するなど、今後さらに住宅ローンへ波及していく動きが出ています。
したがって、「10月に金利が上がったから、これで終わり」と考えるのではなく、今後の金融機関の金利改定を確認していく必要があります。
日本の住宅ローン利用者の約8割が「変動金利」
今回の金利上昇の影響が大きい理由の一つが、日本では変動金利型住宅ローンの利用者が非常に多いことです。
国土交通省は2026年3月に住宅ローンの金利リスクに関する資料を公表し、2025年時点で住宅ローン利用者の約8割が変動金利型を利用しているとしています。
長く低金利が続いた日本では、変動金利を選択することで毎月の返済額を抑えられるメリットがありました。
しかし、変動金利には当然ながら、
「将来、金利が上昇する可能性がある」
というリスクがあります。
実際、住宅金融支援機構が2026年2月に公表した調査では、今後1年間の住宅ローン金利について「現状よりも上昇する」と回答した人は62.0%に達しています。
住宅ローンについて、「金利はほとんど上がらない」という前提で考える時代から、「金利が動くことを前提に返済計画を考える時代」へ変わりつつあると言えるでしょう。
金利が0.25%上がると住宅ローン返済はいくら増える?
では、金利が上がると実際の住宅ローン返済にはどの程度影響するのでしょうか。
単純な比較として、
借入期間35年
元利均等返済
ボーナス返済なし
として試算してみます。
【4,000万円を借りた場合】
金利1.0%
毎月返済:約11万2,900円
金利1.25%
毎月返済:約11万7,600円
金利1.5%
毎月返済:約12万2,500円
金利2.0%
毎月返済:約13万2,500円
金利1.0%から1.5%になるだけでも、単純計算では毎月約9,600円、年間では約11万5,000円の差になります。
5,000万円の借入であれば、
金利1.0%:約14万1,100円
金利1.5%:約15万3,100円
金利2.0%:約16万5,600円
となります。
もちろん、実際にすでに住宅ローンを返済している方の場合は、現在のローン残高、残存期間、適用金利、返済方式などによって影響額は大きく異なります。
そのため、「金利が0.25%上がったから返済額が○円増える」と一律には判断できません。
重要なのは、自分自身の「現在の住宅ローン残高」でシミュレーションすることです。
「5年ルールがあるから大丈夫」は注意が必要
変動金利について調べると、
「5年ルール」
「125%ルール」
という言葉を目にすることがあります。
一般的な元利均等返済の変動金利型住宅ローンでは、金利が上昇しても毎月の返済額を5年間変更しない「5年ルール」を採用している金融機関があります。
また、返済額を見直す場合でも、それまでの返済額の125%を上限とする「125%ルール」を採用している金融機関もあります。
例えば毎月10万円を返済している場合、見直し後の返済額を最大12万5,000円までに抑える仕組みです。
一見すると安心できる制度に見えます。
しかし、ここには非常に重要な注意点があります。
金利上昇によって発生した利息がなくなるわけではありません。
毎月の返済額が変わらなくても、返済額に占める「利息」の割合が増え、その分「元金」の減り方が遅くなる可能性があります。
国土交通省も、5年ルール・125%ルールによって軽減された返済負担は免除されるのではなく、将来の返済へ先送りされる可能性があることを注意喚起しています。
さらに、すべての金融機関・住宅ローン商品に5年ルールや125%ルールがあるわけではありません。
まずはご自身の住宅ローン契約を確認することが重要です。
不動産会社として気になるのは「金利」だけではありません
私たちが住宅ローン相談や不動産売却相談を受ける際、金利だけを見ることはありません。
実際には、
- 住宅ローン残高
- 毎月返済額
- 管理費、修繕積立金
- 固定資産税
- 教育費
- 自動車ローン
- カードローン
- 生活費
- 退職時期
- 今後の収入
- 不動産の現在価値
などを総合的に見る必要があります。
例えば住宅ローン返済が月12万円から13万円になった場合、「1万円しか増えていない」と感じるかもしれません。
しかし、物価上昇によって食費や光熱費なども増えている家庭では、その1万円が家計に与える影響は決して小さくありません。
住宅ローンは20年、30年、35年と続く長期の支払いです。
「今月払えるか」ではなく、
「5年後、10年後も無理なく払えるか」
という視点が重要です。
住宅ローン返済が苦しくなったら、延滞する前に相談する
ここは非常に重要です。
住宅ローンの返済が厳しくなってきた場合、
「とりあえず払えるところまで払おう」
「滞納してから考えよう」
という判断はおすすめできません。
返済が困難になる可能性が見えてきた段階で、まず金融機関へ相談してください。
金融機関によっては、一定の審査はありますが、返済期間の延長など返済条件の変更について相談できる場合があります。
住宅金融支援機構も、返済が困難になった利用者に対して返済方法変更などの相談制度を設けています。
つまり、
「延滞してから相談する」
のではなく、
「延滞する前に相談する」
ことが大切です。
住宅を売却するという選択肢も早めに検討する
返済負担が長期的に厳しい場合は、不動産を売却して住宅ローンを完済する方法もあります。
例えば、
住宅ローン残高:2,000万円
自宅の売却価格:2,800万円
であれば、売却代金から住宅ローンや売却諸費用を精算し、残った資金を次の住居や生活再建に充てられる可能性があります。
問題になるのは、
「住宅ローン残高 > 不動産売却価格」
となっているケースです。
この場合、通常売却だけでは抵当権を抹消できない可能性があるため、自己資金で不足分を補う方法や、金融機関と協議したうえで「任意売却」を検討するケースがあります。
住宅金融支援機構も、返済継続が困難になった場合の選択肢として任意売却の手続きを案内しています。
任意売却は競売とは異なり、債権者の同意を得ながら通常の不動産市場で売却する方法です。
状況によっては、競売になる前に任意売却を進めることで、売却価格や引越し時期などについて調整できる余地が広がる場合があります。
だからこそ、住宅ローン問題では「早く相談すること」が非常に重要なのです。
「売却すると家を出なければならない」とは限らない
住宅ローン返済が厳しくなったものの、
「できれば今の家には住み続けたい」
という方もいます。
その場合に検討される方法の一つが「リースバック」です。
リースバックとは、自宅を不動産会社や投資家などへ売却した後、賃貸借契約を締結して家賃を支払いながらそのまま住み続ける仕組みです。
売却代金を住宅ローン返済などに充てながら、転居せず現在の自宅に住み続けられる可能性があります。
ただし、リースバックには、
- 通常売却と比べた売却価格
- 毎月の家賃
- 賃貸借契約の期間
- 更新条件
- 将来の家賃改定
- 買戻し条件
- 退去条件
など確認すべきポイントがあります。
「住宅ローンが苦しい=必ずリースバックが正解」というわけではありません。
通常売却、借換え、返済条件変更、任意売却、リースバックなどを比較して、その方の状況に合った方法を選ぶことが重要です。
2026年秋、住宅ローン利用者が確認したい5つのこと
今回の住宅ローン金利上昇を受けて、変動金利で住宅ローンを利用している方は、少なくとも次の項目を確認してみてください。
- 現在の住宅ローン残高
- 現在適用されている金利
- 次回の金利見直し時期
- 金利が0.25%・0.5%・1%上昇した場合の返済シミュレーション
- 現在の自宅を売却した場合の査定価格
特に⑤の「自宅の現在価値」は意外と重要です。
例えば住宅ローンが2,500万円残っていても、自宅が3,500万円で売却できるのであれば、選択肢は比較的多く残されています。
一方、住宅ローン残高が3,500万円で売却可能価格が2,500万円であれば、対応方法は大きく変わります。
住宅ローン残高だけを見るのではなく、
「住宅ローン残高」と「現在の不動産価値」
をセットで把握しておくことをおすすめします。
まとめ|住宅ローンは「払えなくなってから」ではなく「余裕があるうち」に確認を
2026年10月、大手銀行の住宅ローン変動金利はすべて1%を超える水準となりました。
さらに、日本銀行は2026年9月にも政策金利を1.25%程度へ引き上げており、その影響が今後各金融機関の住宅ローン金利へ反映されていく可能性があります。
ただし、「今後必ず住宅ローン金利が上がり続ける」と断定することはできません。
今後の物価、景気、賃金、金融政策などによって金利環境は変化するためです。
大切なのは金利の将来を当てることではありません。
金利が上がった場合でも家計が耐えられるのか。
住宅ローンはいくら残っているのか。
自宅はいくらで売却できるのか。
もし返済が難しくなった場合、どのような選択肢があるのか。
これらを「問題が起きる前」に確認しておくことです。
株式会社ヤマトハウステックでは、住宅ローン返済中の不動産についても、通常売却・不動産買取・任意売却・リースバックなど、状況に応じた売却方法をご提案しています。
「住宅ローンの金利が上がって今後の返済が心配」
「住宅ローンがまだ多く残っている」
「売却すると住宅ローンを完済できるのか知りたい」
「売却しても今の家に住み続けたい」
といった段階でもご相談いただけます。
住宅ローンを延滞してからでは、選択できる方法が少なくなる場合があります。
まだ問題なく返済できている段階だからこそ、一度「住宅ローン残高」と「現在の不動産価値」を確認しておくことが、これからの金利上昇局面に備える第一歩になります。
※本記事は2026年10月1日時点で公表されている情報をもとに作成しています。住宅ローンの適用金利、金利見直し時期、返済条件等は金融機関や契約内容によって異なります。実際の条件については、ご利用中の金融機関へご確認ください。
