はじめに
リースバックは、自宅を売却しても賃貸契約で住み続けられる仕組みです。老後資金の確保、住宅ローン返済、事業資金の確保、相続対策など多様な目的で利用が増えています。一方で、契約内容の理解不足や一部業者の不適切な対応が原因のトラブルも少なくありません。本記事では、実際に多く見られるトラブルの種類と、その回避策をわかりやすく整理します。
リースバックの基本と注意点
リースバックとは、自宅を不動産会社などに売却し、その後は賃貸契約を結んで住み続ける仕組みです。利便性が高い反面、売却価格や家賃、契約期間、買い戻し条件などが通常の取引と異なるため、契約内容を正確に理解することが不可欠です。
トラブルが起きやすい背景
- 利用者が制度を十分に理解していない
- 業者側の説明不足や強引な勧誘
- リースバック契約がクーリングオフ対象外である
これらの要素が重なり、トラブルにつながるケースが増えています。
契約前に行うべき準備
- 複数の業者から査定・見積もりを取得する
- 契約条件(家賃・期間・買戻し条件など)を横並び比較する
- 契約書の重要条項をすべて確認し、不明点は必ず書面で質問する
- 家族や専門家(不動産、法律、FPなど)に相談する
- 年金や収入で無理なく支払える家賃かを試算する
金銭に関するトラブル事例と回避策
売却価格の低さ
リースバックの売却価格は、市場価格の70〜80%程度が一般的です。
相場とかけ離れた低い価格を提示されても即決せず、複数社の査定を比較しましょう。
家賃の高騰
契約更新時に大幅な家賃値上げを求められる事例もあります。契約書で家賃改定のルールを確認し、年金収入内で無理のない設定か事前に試算しておくことが大切です。
予想外の費用請求
契約時に説明のなかった手数料や修繕費用などが後から請求されるケースがあります。
費用の内訳を明記してもらい、契約書にない支払いは応じない姿勢を持ちましょう。
買い戻し条件の不透明さ
「後で買い戻せる」と言われても、具体的な金額や期限が契約書に明記されていないケースは要注意です。
買戻し価格の算定方法・期限・手続き条件を明文化しておくことでトラブルを防げます。
契約内容に関するトラブル事例と回避策
定期借家契約による退去リスク
定期借家契約では、契約期間が満了すると自動更新されません。
普通借家契約か定期借家契約かを確認し、再契約の可否や条件を契約書に明記してもらいましょう。
契約更新拒否
所有者が変わった場合、新オーナーが更新を拒否するケースもあります。
契約更新に関する条件や所有者変更時の対応について事前に取り決めておくことが重要です。
口約束の無効化
営業担当者の口頭での説明や約束は、契約書に記載がなければ法的効力を持ちません。
「家賃は上げません」「買戻しできます」などは必ず書面に残しておきましょう。
クーリングオフの非適用
リースバック契約は原則としてクーリングオフの対象外です。
契約後に取り消しができないため、契約前に十分な検討期間を設けることが大切です。
業者に関するトラブル事例と回避策
強引な勧誘
「今決めれば特別価格」などと即決を迫る業者は要注意です。
その場では契約せず、複数社を比較してから判断しましょう。
説明不足
重要な条件を小さな文字で書く、専門用語を多用するなど、利用者の理解を妨げる対応を取る業者も存在します。
納得できない点があれば、平易な言葉で再説明を求めてください。
倒産・転売リスク
小規模業者の場合、倒産により契約条件が履行されないリスクもあります。
実績や財務基盤を確認し、転売時の借主保護が契約に盛り込まれているかも確認が必要です。
不透明な手数料
費用内訳を明示せず、「諸費用込み」で処理されるケースもあります。
不当な費用を防ぐために、各項目の根拠を確認しましょう。
費用項目一覧
| 費用項目 | 目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 売買価格の3%+6万円以内 | 上限を超える請求は違法 |
| 登記費用 | 10〜30万円程度 | 司法書士に確認可能 |
| 印紙税 | 売買価格によって変動 | 税務署で確認可 |
| 査定・鑑定費 | 実費/無料の場合もあり | 請求の有無を事前確認 |
居住継続に関するトラブル事例と回避策
転売による退去リスク
業者が物件を第三者に転売し、新オーナーが退去を求める事例もあります。
転売時に借主の権利が継承される旨を契約書に明記しましょう。
修繕費の押し付け
貸主が負担すべき修繕を借主に請求するケースもあります。
修繕区分を契約書で明確に定め、曖昧なまま契約しないことが重要です。
管理体制の悪化
所有者が変わり管理方針が変化することで、共用部分の清掃や点検が行われなくなるケースもあります。
管理体制についても契約前に確認しておくと安心です。
家族・相続に関するトラブル事例と回避策
家族への事前相談不足
相続予定者に相談せず契約し、後に家族間でトラブルとなるケースがあります。
判断能力に不安がある場合は、専門家の関与を検討しましょう。
買い戻し資金の準備不足
買い戻しを前提に契約したものの、資金を用意できず断念するケースがあります。
退職金・保険金・相続財産など、現実的な資金計画を事前に立てておくことが必要です。
想定時期別の主な資金源とリスク
| 想定時期 | 主な資金源 | リスク要因 |
|---|---|---|
| 契約後3〜5年 | 退職金・保険金など | 経済変動・家計状況の変化 |
| 相続発生時 | 他の相続財産 | 相続人間の意見対立 |
| 市況好転時 | 銀行融資 | 審査基準の厳格化 |
契約前のチェックリスト
- 複数社で条件を比較した
- 普通借家か定期借家かを確認した
- 買戻し条件(価格・期限)を明記してもらった
- 手数料・登記費などの内訳を確認した
- 転売時の借主保護条項がある
- 修繕区分を明確にした
- 家族に相談し合意を得た
- 専門家に書類を確認してもらった
まとめ
リースバックは、うまく活用すれば資金確保と居住継続を両立できる有効な方法です。
しかし、契約内容の不明確さや説明不足があると、思わぬ不利益を被ることもあります。
重要なのは、「書面で確認」「家族・専門家と相談」「複数社比較」の3点を徹底することです。
信頼できる地域密着型の業者を選び、納得のいく形で契約を進めましょう。
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