はじめに
収益物件の購入は、不動産投資の中核をなす重要な選択肢です。その際、オーナーチェンジ物件は魅力的な選択肢となります。本記事では、オーナーチェンジ物件の概要、メリット、デメリット、購入時の注意点、売却時の留意事項などを詳しく解説します。投資の最適化のために、この機会にオーナーチェンジ物件について理解を深めましょう。
オーナーチェンジ物件とは
入居者がいる状態で売買される物件
オーナーチェンジ物件とは、既に賃借人が入居している状態で売買される収益物件のことを指します。新しいオーナーは、賃貸借契約を引き継ぐことで、すぐに家賃収入を得ることができます。
つまり、物件を購入した時点で、すでに入居者がいるため、空室リスクが低く、即収益が得られるというメリットがあります。
売却理由は様々
オーナーが物件を売却する理由は様々です。例えば、資産の整理、収支の改善、手間の軽減、相場の良さ、相続などが考えられます。また、投資の観点から、収益がマイナスで損切りを図る、利益確定を目指す、別の資産に組み替えるなど、理由はさまざまです。
売却理由を確認することで、物件の状況を把握しやすくなります。不動産会社への問い合わせや必要書類の確認などを通じて、適切な判断ができるでしょう。
売却価格の決め方
オーナーチェンジ物件の売り出し価格は、通常、収益還元法で算出されます。この方法では、将来得られる家賃収入の現在価値を基に価格を決定します。
売却価格の妥当性を確認するには、不動産会社に査定を依頼するのが賢明です。専門家の助言を得ながら、適正価格を見極めることが重要になります。
オーナーチェンジ物件のメリット
すぐに家賃収入が得られる
最大のメリットは、物件購入直後から家賃収入が得られる点です。入居者がいる状態で購入するため、空室期間を心配する必要がありません。即収益が見込めるのは、投資効率の高さにつながります。
また、初期投資が比較的少なくて済むことも大きな利点です。入居者募集の広告費用や内装リフォーム費用がかからないためです。
利回り計算がしやすい
オーナーチェンジ物件では、賃貸条件が決まっているため、利回りの計算がしやすくなります。購入後の収支予測が立てやすく、投資計画を立てる際に有利です。
ただし、利回りだけでなく、物件の状態や将来性も慎重に検討する必要があります。
初心者にも分かりやすい
賃貸物件の運用経験が浅い初心者投資家でも、オーナーチェンジ物件は比較的分かりやすいでしょう。すぐに収入が得られ、既存の賃貸条件を引き継げるため、手間が少なくて済みます。
ただし、初心者は不動産会社の専門家に相談するなど、サポートを受けながら検討することが賢明です。
オーナーチェンジ物件のデメリット
入居者の状況が分かりにくい
最大のデメリットは、物件の内部状況を確認しにくい点です。入居者がいるため、内覧会は行えません。写真や過去の修繕履歴から、ある程度の状況は把握できますが、実際の居住状況は分かりません。
入居者のトラブル履歴や、大家との関係性なども見えにくいリスクがあります。
条件変更が困難
購入後、すぐに賃貸条件を変更するのは難しくなります。既存の契約を引き継ぐため、賃料の値上げや入居者の入れ替えなどが自由にできなくなる可能性があります。
長期的な収益性を重視する場合、条件変更の制限は大きな課題になります。
修繕費用が必要になるリスク
オーナーチェンジ時に、大規模修繕が必要になるリスクもあります。建物の状態によっては、設備の入れ替えや補修工事が求められる場合があります。
修繕費用を見積もる際は、専門家の助言を仰ぐことが賢明です。突発的な出費は、投資計画に大きな影響を与えかねません。
オーナーチェンジ物件の購入時の注意点
実質利回りの確認
オーナーチェンジ物件の評価では、実質利回りが鍵となります。名目上の利回りだけでなく、将来の修繕費用や空室リスクなどを考慮した実質利回りを算出し、収益性を検証する必要があります。
利回り計算には様々な方法がありますが、不動産会社の専門家に相談するのが賢明です。適切な計算方法を選び、正確な収益予測を立てましょう。
レントロールの詳細確認
レントロールには、物件の賃貸条件や入居者の状況が記載されています。レントロールを詳しく確認することで、物件の収益性や将来性を把握できます。
特に、入居者の契約期間や賃料額、敷金の状況などに注目しましょう。これらの情報から、収支予測を立てることができます。
空室リスクと入居者の状況把握
オーナーチェンジ後の空室リスクも、しっかりと見積もる必要があります。入居者の契約期間や更新の可能性、高齢者入居の有無など、様々な観点から空室リスクを評価しましょう。
また、入居者の属性や年齢層、家族構成なども把握しておくと、今後のリスク管理に役立ちます。
物件の状況確認
内覧会は行えませんが、写真や修繕履歴、建築確認申請書などから、物件の状況を可能な限り確認しましょう。建物の構造や設備の老朽度合いなども、専門家に相談して判断することが賢明です。場合によっては、入居者の同意を得て簡易的な内覧を行うことも検討できます。
オーナーチェンジ物件の売却時の留意点
買取と仲介のメリット・デメリット
売却方法として、買取と仲介のどちらがよいかを検討する必要があります。
買取の場合、即金化できるメリットがありますが、取引価格は仲介よりも割安になる傾向にあります。一方、仲介なら高値で売却できますが、売却までに時間がかかる可能性があります。需要の低い物件や築年数の経過した物件は、買取の方が売却しやすい場合があります。売却の優先度合いや、売却理由に応じて、最適な方法を選びましょう。
売却活動の工夫
オーナーチェンジ物件は一般的な売買物件と比べて買い手が限られる傾向にあります。そのため、売却活動には工夫が必要です。
例えば、物件の魅力を適切にアピールすること、複数の不動産会社に売却を依頼すること、入居者にスムーズに退去してもらうことなどが考えられます。空室対策として、フリーレントを活用するのも一つの方法です。
資料の整備と情報開示
購入検討者に対しては、透明性の高い情報開示が求められます。レントロールや修繕履歴、財務情報などの資料をきちんと整備し、質問に誠実に回答することが重要です。
また、入居者との関係性やトラブル履歴なども開示しておく必要があります。隠し立てをせず、リスクを正直に伝えることで、スムーズな売買交渉が期待できます。
まとめ
オーナーチェンジ物件は、即収益が見込めるなどのメリットがある一方で、リスクも存在します。メリット・デメリットを理解した上で、慎重に検討することが肝心です。
購入時は実質利回りやレントロール、物件の状況を確認し、売却時は買取と仲介のメリット・デメリットを比較するなど、様々な視点から物件を評価する必要があります。不動産会社の専門家に相談しながら、自分にとって最適な物件を選ぶことをおすすめします。
オーナーチェンジ物件は、投資物件の中でもユニークな存在です。上手く活用すれば、収益の最大化が期待できますが、リスクも無視できません。本記事を参考に、オーナーチェンジ物件について理解を深め、投資判断の一助としてください。