空き家を放置するとどうなる?深刻なリスクと対策を徹底解説

はじめに

空き家問題は、日本全国で深刻化しています。少子高齢化の影響により、空き家の数は年々増加傾向にあり、適切な対策が急務となっています。空き家を放置すると、様々な問題が生じるため、所有者への啓発と、行政による効果的な施策が重要視されています。本記事では、空き家を放置することによるリスクやデメリットを詳しく解説し、適切な対処方法についても言及していきます。

固定資産税の大幅増加

空き家を放置すると、固定資産税が大幅に増加するリスクがあります。特に、「特定空き家」に指定された場合、固定資産税が最大で6倍にもなる可能性があります。

特定空き家への指定

自治体は、管理が適切に行われていない空き家を「特定空き家」に指定する権限を持っています。この指定を受けると、固定資産税の軽減措置が受けられなくなり、税負担が大幅に増加します。

例えば、4,500万円の土地に一軒家がある場合、通常は年間105,000円の固定資産税ですが、特定空き家に指定されると630,000円にもなってしまいます。このように、放置すると大変な税負担を強いられることになります。

軽減措置の適用外

特定空き家に指定されると、土地評価額の特例が適用されなくなるため、固定資産税が跳ね上がります。空き家の所有者は、この点を十分に理解し、早期の対策を立てる必要があります。

また、通常の空き家であっても、放置し続けると評価額の圧縮につながらず、負の財産となってしまう可能性もあります。そのため、賃貸や売却、建て替えなどの対策を検討することが賢明です。

相続税の特別控除

一方で、相続した実家の空き家を相続前に売却する場合、最高3,000万円の特別控除を受けられます。このように、専門家に相談しながら賢明な対応を検討することが重要不可欠です。

空き家の固定資産税負担を軽減するためには、定期的な管理や早期の売却、賃貸化などの対策が欠かせません。放置してしまえば、深刻な税負担を被ることになってしまいます。

倒壊や火災など重大事故のリスク

空き家を放置すると、老朽化が進み、建物の倒壊や火災などの重大事故が発生するリスクが高まります。このような事態になれば、所有者は甚大な損害賠償責任を負う可能性があります。

老朽化による倒壊

長年放置された空き家は、雨風にさらされ続けるため、建物が急速に老朽化します。このまま放置し続けると、いずれ雪の重みや地震などで倒壊する危険性が高まります。倒壊によって隣接する建物や通行人に被害が及べば、所有者は巨額の損害賠償責任を負わなければなりません。

実際に、適切な管理が行われていない空き家の一部が倒壊し、隣家に被害が及んだケースも報告されています。このように、予期せぬ事態に見舞われるリスクは決して無視できません。

不審者の侵入と放火

放置された空き家は不審者の侵入や、児童の遊び場になるなどのトラブルも起こりがちです。さらに、空き家に火を放たれるといった放火事件の可能性もあり、周辺に甚大な被害が及ぶ恐れがあります。

こうした事態を防ぐためにも、定期的な巡回と適切な管理が不可欠です。遠方に住んでいたり高齢で管理が難しい場合は、不動産会社などの専門業者に管理を委託することをおすすめします。

自然災害による被害

空き家は自然災害の際にも大きな被害を受けるリスクがあります。台風や豪雨の際に、瓦が剥がれ落ちたり、建物が全壊したりする可能性があります。さらに、避難路の障害物となり、災害対応の妨げにもなりかねません。

空き家を放置しておけば、自然災害による損失は計り知れません。住宅の損壊はもちろん、隣接する建物への被害、人命にも関わるリスクがあるのです。所有者には、しっかりと適切な管理を行う義務があります。

近隣トラブルと景観の悪化

空き家を放置すると、近隣住民とのトラブルに発展したり、地域の景観を損ねる恐れがあります。所有者は早期の対策が重要となります。

不法投棄や不審者の立ち入り

管理が行き届かない空き家は、不法投棄の場所や、不審者の犯罪の素地になりがちです。ごみの投棄や落書きなどで近隣に迷惑がかかり、住環境が悪化してしまいます。

また、空き家に不審者が立ち入り、盗難などの犯罪に利用されれば、周辺住民の治安上の不安も高まります。所有者は、しっかりと管理を行い、こうした事態を未然に防ぐ必要があります。

ねずみや害虫の発生

放置された空き家にはねずみや害虫が発生しやすく、近隣への悪影響が及びます。ごみが散乱し、臭いも発生するため、近隣住民から強い苦情が寄せられるでしょう。

さらに、害虫が近隣の住宅に侵入する恐れもあり、広範囲での被害が予想されます。ねずみや害虫の発生は、所有者の適切な管理が行われていないことの表れでもあります。

景観の悪化

老朽化した空き家は、その外観からも地域の景観を損ねてしまいます。放置すれば、周辺の住宅価値にも影響を与え、地域全体の価値を下げてしまう可能性があります。 一方で、所有者が適切な管理を行えば、景観の維持にもつながります。定期的な清掃や植栽の手入れなどを欠かさず、周辺の環境に配慮することが重要です。

立ち入り禁止や代執行など厳しい措置

空き家を放置し続けると、行政から立ち入り禁止や代執行といった厳しい措置を受ける可能性があります。所有者は早期の対策が不可欠です。

「特定空家等」への指定

管理不全の空き家は、自治体から「特定空家等」に指定される可能性があります。この指定を受けると、行政から助言や指導、さらには勧告や命令が出される場合があります。 勧告に従わなければ、最終的には50万円以下の過料に処せられる可能性もあります。このように、空き家の放置には厳しい罰則が設けられています。

立ち入り禁止の命令

特定空家等に指定された空き家は、周辺住民の生命や身体に危険を及ぼす恐れがあると判断された場合、立ち入りが禁止される可能性があります。 立ち入り禁止の命令が出されると、所有者自身が空き家に近づくことすらできなくなります。つまり、自らの財産にすらアクセスできなくなるのです。

行政代執行と高額請求

もっとも厳しい措置が行政代執行です。所有者が助言や指導、勧告、命令に従わない場合、最終的に行政が強制的に解体や修繕を行うことができるのです。 この場合、工事費用や人件費など、代執行にかかった全ての費用が所有者に請求されます。数百万円から数千万円の高額請求になる可能性もあり、重大なリスクとなります。

売却や賃貸が困難に

空き家を長期間放置し続けると、売却や賃貸が極めて困難になってしまいます。早期の対策が重要となる理由がここにあります。

資産価値の下落

長年手入れが行われていない空き家は、老朽化が進み、資産価値が下がってしまいます。建物の劣化が著しければ、買主や入居者がつきにくくなるのは当然のことです。 さらに、放置された空き家があることで、周辺の住宅価値にも悪影響を及ぼします。このように、空き家の放置は個人資産の価値低下のみならず、地域全体の資産価値を下げてしまう可能性があります。

売却の障壁

老朽化が進んだ空き家を売却しようとしても、簡単ではありません。建物の傷みや、残置物の処理など、様々な課題があるためです。 中には、解体費用がかかりすぎるため、売却自体が難しいケースもあります。また、特定空家等に指定されている場合、さらに売却が困難になります。

賃貸の障壁

空き家を賃貸物件として活用する場合も、しっかりとした手入れが不可欠です。古びた内装では入居者が見つからず、空室のままでは家賃収入が得られません。 賃貸化する際は、内外装の修繕や清掃などを行い、居住環境を整備する必要があります。放置しているだけでは、賃貸化は極めて難しくなってしまいます。